働きやすい職場環境とは?
「働きやすい職場」とは、従業員が心身ともに健康であり、個々のパフォーマンスを最大限に発揮できるような環境を意味する。職場における「働きやすさ」はこれまで個々人の感覚で測られていたが、近年では生産性や業務効率性といった数的指標によって評価されるようになってきた。そのため、「働きやすい職場」とは、従業員が心身ともに健康であり、従業員のパフォーマンスを最大限発揮できるような職場環境と定義する企業が増えているのである。
働く際の苦労や障壁が少ない職場では、従業員一人ひとりが生産性を高く保ちつつ、チーム全体の成果も最大化される。具体的な働きやすさの要素は多岐にわたるが、企業が取り組むべきおもなポイントとしては以下のようなものが挙げられる。
- 健康を保ちながら快適に働ける環境
- 福利厚生の充実
- モチベーション維持のための人事評価制度
- 柔軟な働き方の選択肢
働きやすい職場環境がもたらす7つのメリット
快適な職場は集中力を高め創造的な発想力が発揮しやすくなる。また効率的な作業環境は生産性の向上に役立つ
メリット1:生産性とクリエイティビティの向上
快適な職場は集中力を高め創造的な発想力が発揮しやすくなる。また効率的な作業環境は生産性の向上に役立つ。
メリット2:雇用の安定と離職の抑制
働きやすい職場では、従業員が企業に対して長期的なコミットメントを持つようになり、離職率を抑えて雇用を安定させることができる。
メリット3:企業のブランドイメージと社会的評価の向上
働きやすい職場は企業の社会的責任を果たしていると見られ、社会全体に対しても良い印象を与える。投資家からの評価も向上が期待できる。
メリット4:従業員のウェルネスが保たれる
働きやすい環境は従業員のストレスを軽減し、心身の健康を保って長く元気に働くことに貢献する。
メリット5:イノベーションと競争力の向上
従業員が新しいアイデアを提案しやすい環境は、革新的な製品やサービスを生み出す土壌となり、企業の市場競争力も強化される。
メリット6:コミュニケーションとチームワークの強化
信頼と尊重の文化が醸成された職場では良好なコミュニケーションが生まれ、チームワークが強化されたり、プロジェクトの成功率が高まったりする。
メリット7:多様性の促進
さまざまな背景を持つ従業員が働きやすい環境は、多様性と包摂性を促進し、異なる視点や経験が企業の決定プロセスに役立つ。
働きやすい職場環境にみられる10のポイント
従業員が「働きやすい」と感じている職場には、以下のような共通の特徴がある。
働きやすい職場環境を整える方法
上記の「働きやすい職場」の共通点をもとに、企業が具体的に取り組める施策と進め方を解説する。
フレキシブルな勤務体系の導入
リモートワークやシフト制勤務の導入により、従業員が個々のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を選択できるようにする。
働きやすさを感じられるオフィスレイアウト
居心地の良いオフィス環境を作るため、必要に応じてレイアウト変更や内装のリフォームを行うことで、業務へのモチベーションを高める。上司や先輩とのコミュニケーションを容易にするためのフリーアドレスを導入するのも良い方法だ。
教育・研修体制の強化
充実した新人研修や資格習得支援等を通じて、従業員の学習機会を増やすことも重要だ。業務に必要な資格取得を支援すれば、検定費用の支給や資格手当の付与等により従業員のスキルアップとモチベーション向上を図ることができ、また新人研修としてOJT研修を実施し、業務マニュアルの作成や勉強会を実施することで、新人の教育を効率化することができる。
ワークライフバランスを意識した制度
従業員の適切な休暇取得を促し、有給休暇や家庭の事情に対応した休暇の消化率を上げることで、より持続的に働きやすい環境を作る。また住宅補助や医療補助の導入、フィットネスクラブ割引など、従業員の満足度を高めるための福利厚生を見直し整備する。
健康経営オフィスの整備により、健康問題に起因する生産性低下や欠勤を解消し、パフォーマンスの向上が期待される。
「働きやすい職場環境」という観点でオフィスを見直す際にキーワードとなる、以下の概念や用語についても知っておきたい。
- 健康経営オフィス
- オフィスDX
- フリーアドレス制
オフィスDX
DX(Digital Transformation)とは、進化したIT技術を活用し、人々の生活や働き方を変革することを指す。この変革は働きやすい職場環境の構築にも貢献する。現在手作業で行っている業務をデジタル技術によって効率化すれば従業員は業務負担が軽減され、より生産性の高い業務に集中できる。書類作成や経費精算など、業務に合った様々なITツールの導入が効果的である。
また、リモートワークを推進するためのチャットツールやウェブ会議システムの導入もDXの一環であり、出社できない従業員も遠隔地から業務を継続できるようになる。さらに労務管理にクラウドツールを導入することで、どこからでも勤怠管理が可能となり、テレワークやハイブリッドワークの体制を整えやすくなる。これらのオフィスDXの取り組みにより多様な働き方が実現すれば従業員の働きやすさが向上する。
フリーアドレス制
フリーアドレス制とは、従業員が固定の席を持たず必要に応じて自由に席を選べるオフィス環境のことである。特定の場所に縛られることなく、プロジェクトやその日の業務に応じて最適な場所で作業ができるため、効率的かつ快適な労働環境を提供できる。
働きやすい職場環境を実現させるためのステップ
働きやすい職場環境の実現に向けて取り組みを開始する際には、以下のような手順で進めると良い。各ステップの注意点もあわせて確認しておきたい。
ステップ1:従業員の理解と意識向上を促す
職場環境の改善にあたっては、従来の働き方や考え方に変化が伴う。そのため、経営者層や管理職だけでなく、すべての従業員が取り組みの概要やメリット・新しい考え方や行動・個人の立ち位置を正確に理解し、意識を高めることが重要である。
働きやすい職場環境の実現に成功した企業事例を知ることも、従業員の理解を深めるための効果的な手段である。
ステップ2:効率的な業務のための環境整備
適切なツールや設備の整備は新しい職場環境でのスムーズな業務遂行を可能にするが、逆に不十分であった場合は社内の混乱を招きかねない。
職場環境の変革に伴い、業務の効率化を支えるためにOA機器やデジタルツールの選定、オフィスレイアウトの再設計が必要である。
ステップ3:従業員の声を積極的に取り入れる
「働きやすい職場環境」の整備においては、経営層のみの視点では不十分である。期待する成果を得るためには従業員の意見を積極的に聞いてみると、現場で働く従業員ならではの気づきや提案が浮かんでくるはずだ。
こういった経営層と従業員間の考え方や認識の違いを理解し、ギャップを適切に埋めていくことが効果的な職場環境改善につながる。
ステップ4:戦略総務の役割強化と新しい働き方への適応
働きやすい職場環境の実現には、総務部門の役割の見直しが不可欠である。特に「戦略総務」としての機能強化が重要で、従来の評価やマネジメント方法の再考、ビジョン共有の推進などが総務に求められている。戦略総務は、企業の成長に伴う人員増加による関係性の希薄化、メンバーのモチベーション低下の察知、部署間の垣根を越えた協力や情報共有の場の設置など、組織全体の調和と効率化に貢献する重要な役割を担う。これらの取り組みにより、職場の働きやすさと組織の効率性の両立を目指す。
JLLが提供する「働きやすさ」実現のためのオフィス戦略コンサル
働きやすい職場環境の実現は、従業員の心身の健康や生産性とモチベーションに良い影響をもたらすだけでなく、企業のブランドイメージ向上や優秀な人材の確保など、中長期戦略の観点からもメリットが多い。
その重要性に気づいた多くの企業が「働きやすい職場環境」づくりに取り組み始めている中で、まだ自社オフィスの課題や現状把握・評価が進まず、従業員が「働く場」に何を求めているのか理解できていない企業も存在するだろう。
社内の人的リソースが足りず実施が難しい場合や、適切な知見をもとに働きやすい職場を実現したい場合は、オフィス移転コンサルタントやワークプレイス戦略コンサルタントなど、専門家のサポートを受けるのも良い方法だ。
日経ニューオフィス賞・グッドデザイン賞 W受賞!JLL新オフィスにてオフィスツアー・相談会実施中
JLLでは、働きやすい職場環境の実現に向け、以下のようなさまざまな業務を総合的に支援している。
- 設計および建設プロジェクト:最新動向とグローバルな知見を活用し優れた体験ができるオフィス空間の整備を行う
- コワーキング・フレキシブルなスペース戦略:長期の賃貸契約を避け必要な期間と床面積を柔軟に選べるフレキシブルオフィスを提供する
- オフィステックでオフィス最適化:オフィス利用データ・システム・テクノロジーを用いて、職場環境の改善とオフィス戦略の意思決定を支援する
- 省エネ・サステナビリティ推進:JLLが提供する多様な省エネソリューションを通じて、顧客のサステナビリティ目標の実現を支援する