アセットライトの戦略性:財務的考察など多面的に検証する
「An asset-light business model, as the name suggests, is a business model where the company focuses on reducing the amount of capital that is invested in assets.(アセットライト・ビジネスモデルとは、その名の通り、企業が資産に投下する資本を減らすことに重点を置くビジネスモデルである。)」
つまり、「保有資産を減らすこと」が「アセットライト」ということです。日本では別名「持たざる経営」ともいわれ、一般的に企業が保有資産を減らし、財務負担を軽減する経営手法を指します。
多くの企業では不動産や車両、機械設備などの様々な資産を保有・使用・運用して収益を上げていますが、その一方で資産を維持するためのコストや、減価償却費といった費用が生じています。これらを削減するため、資産の保有を取りやめ、賃借などに切り替えるのが、「アセットライト経営」になります。これによって企業はより柔軟な財務運営が可能になり、リスク分散などのメリットを享受することができます。
この「アセットライト経営」において最も関連性が深い資産は「不動産」とされており、具体的に飲食業やホテル営業系では不動産を所有せずに賃借することは日常的に行われています。
アセットライト経営のメリット
「バブル期の建物」をいかに扱うべきか?
最後に「バブル期に建築した建物をどうすればよいか」の一検証を示します。
バブル期には多くのオフィスビルが建築されました。これらのビルは築30年を超えてきています。また、その後建築された工場や倉庫なども築年を重ねてきています。
これらの建物では、今後多額の大規模改修費用が見込まれ、エネルギー効率が悪いことなどから、事業収益への圧迫が心配されます。また、賃貸物件であれば、これに加え収益減少リスクも考えなくてはいけません。
解体、再建築をすればこのような問題点を解消することができますが、仮移転先を見つけることは容易ではなく、さらに解体費や建築費が高騰しているため事業採算上進めることが難しいという判断がされることが増えています。
やがて、経済的耐用年数を経過すると解体せざるを得ず、その後の土地利用など問題点は先送りされます。
参考までに、経済的耐用年数は、税法の耐用年数と異なり具体的な年数が規定されていませんが、税法の耐用年数と同程度と考えられることが多いようです。税法の耐用年数(減価償却期間)は、RC/SRC造のオフィスビルでは50年、鉄骨造などの工場、倉庫では約30年(構造などで異なる)とされています。
一定の収益性が認められる建物である場合、残存経済的耐用年数が長い現時点であれば購入希望者はいると想定されますが、年を経るにつれて購入希望者は減少し、売却が難しくなります。
一方で、現時点で売却転出するのであれば、移転先の捜索、移転の手間、コストなど乗り越えるべき問題点は多岐に亘ります。
転出せずに売却するという「セールアンドリースバック」という手法を利用すれば、問題解決になる可能性があります。
セールアンドリースバックを利用したアセットライト経営
セールアンドリースバックとは、資産を売却すると同時に賃借する取引形態です。
保有コストの代わりにそれよりも高額となる賃借料を支払うため、「損」な取引であるという意見もありますが、上記のように含み益・含み損を表面化することにより生じる効果を評価するなら、異なる判断がされることにもなります。
現行の日本会計基準では、リースバック期間の長短により決算に与える影響が異なるため、そういった面での考証も十分行うことをお勧めします。