メインコンテンツにスキップ

オフィスに休憩スペースを設ける理由や目的

休憩のための専用スペースを設けるのには、以下のような目的がある。

  • 仕事を離れて心身の疲労回復をするため

  • 休憩時間と執務時間(オンとオフ)の切り替えのため

  • 従業員同士の交流を図るため

  • 企業のイメージやブランド力を向上させるため
休憩スペースでコミュニケーションを取る従業員の様子

休憩スペース導入前に検討したい4つのポイント

自社オフィスに休憩スペースの設置を検討するにあたっては、以下の4つのポイントをおさえて計画を進めたい。

1. 従業員のニーズ

メインの目的である小休憩・ランチだけでなく、他部署との交流、来客対応、軽い運動、1人になれる個室等、従業員へのアンケートやヒアリングを通じてニーズをつかみ、それに応えられるような設備に近づけることでより満足度が高まる可能性がある。

3. 設置場所

執務室からの音や視線を遮り休憩を優先する場所が良いのか、いろいろな部署のメンバーが行き交う通路沿いが良いのか等、休憩スペースの目的に合わせて設置場所を検討する

4. 十分な広さ

せっかく休憩スペースを設置しても、面積が狭くいつも満室では一部の従業員から不満の声が上がる可能性がある。健康経営の視点を踏まえて、が十分に休憩スペースを利用できるかどうかシミュレーションしておきたい。

気持ちの切り替えができてリフレッシュ効果が高まるため、執務スペースと休憩スペースが相互に見えないようなレイアウトが望ましい 

休憩スペースを新たに設置する際に、会議室をそのまま使う・パーテーションで区切るといった簡易的な対策や、デザインやレイアウトの工夫でより快適な環境を実現するためのアイデアを紹介する。

バイオフィリックデザイン

「バイオフィリック」とは、「バイオ(生命・自然)」と「フィリア(愛好・趣味)」を合わせた造語で、人間が本能的に持つ「自然とつながりたい」という欲求に基づいたデザイン手法である。

具体的な方法として、休憩スペースに観葉植物やリビングウォールを設置する、石や木など自然素材の内装や家具を取り入れる、緑豊かな公園の見える窓側に休憩スペースを作る等が挙げられる。サイネージに自然風景や植物の画像を映すだけでもストレス緩和に効果があるという。

スペースの確保

休憩スペースを設ける際は、従業員数や利用目的に合った広さを確保する必要がある。食事や小休憩が十分にできる広さとソファや椅子の数を見積もり、設置したい。

可能であれば、体調がよくないときや1人で考えごとをしたいときに使えるプライベートゾーンも設けるとよい。

休憩スペースに有効な設備

休憩スペースの広さや位置が決まれば、必要な設備の手配を始めよう。より快適で効果的な休憩スペースをつくりだすために、以下のような設備・什器の導入を検討してみてはどうだろうか。

個人スペース/グループスペース

ソファや本棚

デスクとは異なる環境での小休憩はより効果的であり、さらにデジタル機器を離れて読書をすることは目にも優しく、気分の切り替えにも有効だ。
 

デスクワークの多いオフィスでは特に軽い運動は心身のリフレッシュに大きな効果をもたらし、従業員のウェルネスや生産性の向上が期待できる。

エアロバイクやストレッチ用のマシン、ヨガマット、卓球台など、スペースに合わせて身体を動かせる設備の導入を検討してみるのもよい。

カフェスペース

ウェルビーイングを意識したオフィスデザイン

こういったウェルビーイングを意識したオフィスデザインは、従業員がオフィスに求めるものを聞き取り、整理することから始める 

注目されるウェルネスオフィスの考え方 (WELL認証、CASBEE ウェルネスオフィス)

ウェルネスオフィス」とは、従業員の心と体の健康を高められるようなオフィス環境をいい、社内的には従業員のエンゲージメントや生産性の向上、離職率の低下、対外的には採用条件のプラス要素や株主へのプレゼンスなど、企業にさまざまな効果をもたらすと注目を集めている概念だ。

オフィスのウェルネス指数を客観的に示す指標としてはいくつかの認証制度が存在するが、なかでも有力なツールが、WELL認証CASBEEウェルネスオフィス認証である。

WELL認証とは、環境・エネルギー性能といった効率的な要素に加え、ヒトの健康や快適性にも焦点をあてた空間のデザインや運用・構築手法等を評価する。企業の間で重要視されている働き方改革や健康経営の目的に沿った要素を評価することから、注目度が高まっている。

CASBEEウェルネスオフィス認証は、IBEC(一般社団法人 建築環境・省エネルギー機構)が提供する「CASBEE-ウェルネスオフィス」の評価マニュアル及び評価ツールから導き出された結果を第三者が審査するビル認証制度の1つで、建物利用者の健康性と快適性の維持・増進を支援する建物の仕様、性能、取組みを客観的な数値で表すことができる。

適切な休憩スペースの設置は、ウェルネスオフィスの実現の重要な要素の1つとなるだろう。

休憩スペース設置のメリットやポイントをふまえて検討を

オフィスの休憩スペースの新設や充実は、一見直接の収益をもたらさない施策に思えるが、長期的には従業員の生産性とエンゲージメントを上げ、定着率向上や採用率アップ、対外的なブランディングや投資家への訴求等、数多くのベネフィットが期待できる。

自社の従業員のニーズをしっかりと把握し、今回の記事で紹介したポイントも踏まえ最適な休憩スペースの設置に向けて検討を進めてほしい。

従業員のエンゲージメントを向上させるオフィスデザイン戦略