JLL日本の東京オフィスがLEED認証の最高レベル「プラチナ」取得
JLL日本の本社オフィスが2023年4月19日、世界的なグリーンビルディング認証制度として知られるLEEDのインテリア設計・建設分野である「LEED v4 Interior Design and Construction: Commercial Interiors(以下、LEEDv4 ID+C: CI)」の最高レベル「プラチナ」を取得した。JLLの調査では、当該評価バージョンにおいてプラチナを取得した事例は国内で2件目(2023年4月19日時点)だ。
最先端の環境配慮型オフィスとはどのようなものなのか。今回のプロジェクトを参考に、LEED認証取得におけるポイントを紐解いていく。
LEED認証とは?
LEED認証取得に向けた具体的な取り組みを紹介する前に、LEEDの概要を説明する。
世界的に地球温暖化対策が求められる中、温室効果ガスの世界総排出量の約40%を占めるとされる不動産のサステナビリティ化は喫緊の課題となっている。そうした中、オフィスや商業施設、ホテル、物流施設といった建築物等の環境性能を評価するシステムがLEED(リード)認証だ。
アメリカの非営利団体である米国グリーンビルディング協会「USGBC®(U.S. Green Building Council)」が2000年から正式に運用を開始。GBCI(Green Business Certification Inc.)が認証の審査を行っている。2022年12月末時点の世界150カ国・地域で100,281件の取得実績がある。名実ともに世界で最も普及しているグリーンビルディング認証といえるだろう。
LEED認証の評価項目
評価項目には下記9つのクレジットカテゴリーがあり、必須条件を満たしたうえで、選択項目のポイントを加算していき、合計点によって4つのレベルに分類される。プラチナ(80ポイント以上)を最高レベルとし、以降、ゴールド(60-79ポイント)、シルバー(50-59ポイント)、標準認証(40-49ポイント)となる。認証を取得した建物・室内環境は総じて環境負荷の低減に大きく寄与していると認識されている。
1 総合プロセス
2 立地と交通手段
3 持続可能な敷地
4 水の効率的利用
5 エネルギーと大気
6 材料と資源
7 室内環境品質
8 革新性
9 地域における重要項目
JLL日本 リサーチ事業部が2023年4月に発表した「サステナブル不動産への道:ビル認証編(以下、同レポート)」によると、2022年12月末時点における日本のLEED認証取得物件は223件。最高位のプラチナを取得しているのは30件(全体の14%)だ。
日本の建築物等は223件と世界22位に留まっているが、直近5年間でみると1年あたり平均24件取得。2013-2017年の5年間の取得実績平均15件/年と比較すると、着実に増えている
LEEDの取得件数が日本でも増えている。JLL日本 リサーチ事業部の同レポートによると、LEED認証を取得している建築物等は2022年12月末現在、世界150カ国・地域で100,281件。そのうち日本の建築物等は223件と世界22位に留まっているが、直近5年間でみると1年あたり平均24件取得。2013-2017年の5年間の取得実績平均15件/年と比較すると、着実に増えていることがわかる。
LEED取得で差別化を図るオフィスビル
一方、テナントの受け皿となるオフィスビル側の取得実績も今後増えていく可能性がある。オフィス市場に詳しいJLL日本 リサーチ事業部 シニアディレクター 大東 雄人は「外資系企業の誘致を視野に現在進行中の大規模再開発でLEED認証やWELL®認証※2を取得する事例もあり、実際に外資系企業が入居を発表した事例もある。オフィスの大量供給を控え、ビルの競争力を向上させ、競合と差別化を図るためにもLEED認証をはじめとするグリーンビルディング認証を取得するオフィスビルが増えていくのではないか」との見解だ。
JLL日本がLEED認証取得を目指した理由
LEED認証取得に向けた具体的な取り組み
入居ビルの選定
今回のLEEDの評価システムでは、内装における省エネ性能のみならず、入居するビルの環境性能も加点対象となる。例えば、前述した評価項目「立地と交通手段」において、公共交通機関が充実している立地は自動車による炭素排出量削減に寄与するため、「建物の敷地境界から400m以内(敷地境界を400mオフセットした範囲内)の建築密度」や「建物の歩行距離400m以内のバスおよび800m以内の電車本数」などの要件を満たす必要があった。そのため、グリーンビルディング認証の取得支援など、環境関連の多彩なサービスを提供しているJLL日本 エナジー&サステナビリティ事業部が移転先の選定にも携わっている。
当該ビルが選定された理由として、前述した立地条件の他、省エネ型空調システムを採用したことでビル自体のエネルギー効率が非常に高かったことや、雨水の再利用による節水効率の高さといったLEED取得に向けて評価の高い高効率設備が整っていたことも挙げられる。
LEED認証取得のポイント
物件選定時からLEED認証取得を前提としたプランを遂行できたことが成功の要因
LEED認証に関する問い合わせはJLLへ
JLL日本 エナジー&サステナビリティ事業部では、ビルオーナー、テナント企業、投資家など、幅広い顧客を対象にグリーンビルディング認証取得を支援している。今回JLL本社オフィスでLEED認証を取得した経験を活かし、更なるサービス向上を実現。不動産サステナビリティに関する多種多様な課題を解決するサービスを提供していく。
※1 米国の非営利団体、米国グリーンビルディング協会USGBC(U.S. Green Building Council)が開発・運用し、GBCI(Green Business Certification Inc.)が審査する認証制度。
※2 米国の国際ウェルビルディング研究所IWBI(International WELL Building Institute)が策定し、GBCI(Green Business Certification Inc.)が審査する、人々の健康とウェルネスに焦点を合わせたBuilt Environment(建築や街区の環境)の性能評価システム。