オフィス移転スケジュールの最適解は?成功のための全体工程とチェックリスト
オフィス移転スケジュールの全体像とかかる期間
企業がオフィス移転を考えるのは以下のようなタイミングが多いのではないだろうか。
- 会社や事業の成長に伴い社員数が増えたとき
- 働き方の変化で出社人数が減ったとき
- 設備やインフラが老朽化してきたとき
- 立地やビルの外観・内装がブランディング向上に寄与しなくなったとき
- 現在のオフィスの契約更新が近づいたとき
しかし、移転したいと考えてもすぐに実現できるわけではなく、移転にはある程度の期間を要する。
会社の規模や移転の内容に応じて必要な期間はそれぞれ異なるが、移転の計画立案を開始した時点から移転完了まで、小規模なオフィス移転であれば約6カ月、大規模なオフィス移転は約1年を目安に考えると良いだろう。
一般的なオフィス移転のリードタイム
オフィス移転の際には、どのような工程があり、どの程度の期間が必要なのだろうか。会社の規模や地域・状況によっても異なるが、基本的な流れと一般的なリードタイムは以下のようになり、並行して進めていく必要がある。それぞれいつ頃に行うべきかも後述するので参考にしてほしい。
- 1. 移転計画立案:3-4カ月
- 2. 移転先の選定と契約:2-3カ月
- 3. 旧オフィス解約の手続き:1-2週間
- 4. 新オフィスのレイアウト作成:2-3カ月
- 5. 施工業者の手配:1-2カ月
- 6. 家具・什器・備品類の発注:1-2カ月
- 7. 引っ越し業者の選定と予約:1-2カ月
- 8. 引っ越しの準備:1-2カ月
- 9. 引っ越しと旧オフィスの原状回復:約1週間
- 10. 官公庁やインフラ手続き・取引先への連絡:1-3日営業日ですみやかに
移転スケジュールの考え方
オフィス移転は多くのタスクが同時進行するため、緻密な工程管理が求められる。スケジュール策定において特に重要な考え方は以下の通りだ。
- 移転希望日(ゴール)からの「逆算」で計画する
- 現オフィスの「解約予告期間」を最優先に確認する
- 社内調整や不測の事態に備え、期間に「余裕(バッファ)」を持たせる
まずは「いつから新オフィスで稼働したいか」というゴールを明確にし、そこから逆算して各工程のデッドラインを設定するのが鉄則だ。
特に現オフィスの解約予告は一般的に6カ月前とされていることが多く、この通知時期や移転のタイミングがずれると、新旧オフィスの賃料の重複(二重家賃)期間が長引いてしまう。
また、物件選定や内装デザイン、社内稟議は想定以上に時間がかかるケースが多い。最低でも1-2カ月の予備期間を設け、余裕を持ったスケジュールを組むことが円滑な移転を実現するポイントだ。
オフィス移転で押さえるべきポイント
事前にオフィス移転でどの課題を解決したいのかをリスト化し優先順位をつけたものを共有しておくと、選択肢がバッティングした時にスムーズな決定の助けになる
オフィス移転で実現したいことの優先順位を明確にし、全社で共有する
移転先のオフィスについて、社内の部署ごとに希望する立地が異なったり、設備投資にかけるべき費用の想定額が異なったりすることがある。
こういった際に備え、事前にオフィス移転でどの課題を解決したいのかをリスト化し優先順位をつけたものを共有しておくと、選択肢がバッティングした時にスムーズな意思決定の助けになるだろう。
解約予告期間に注意する
賃貸オフィスでは通常、賃貸借契約書に解約予告期間が定められており、解約希望日の6カ月前など、オーナーに対して解約告知を行う義務が発生する。この期限を過ぎて旧オフィスを解約すると退去後の賃料や共益費などの支払いが発生し、新オフィスとの二重負担となってしまう。
せっかく理想の新オフィスを見つけてもコストの面で見送らざるを得ない、あるいは本来よりも多くの費用がかかるといった事態を避けるため、原状回復も含めて旧オフィスの契約内容と移転時期をしっかりと検討する必要がある。
移転先オフィスのレイアウトの自由度を確認する
現オフィスの課題を解決しオフィス環境を改善するために、移転先のレイアウトは最重要ポイントとなるが、同じ床面積でも室内に柱があると実際に使えるスペースが減りレイアウトの自由度が低下してしまう。
無柱のオフィスであるかどうか、また梁や素材等によって希望のレイアウトが制限されないか、事前に確認しておきたい。
繁忙期の価格高騰に注意する
移転にかかる費用は年間を通じて同じではなく、需要の高まる繁忙期には引っ越し業者などを中心に価格が高騰する。また繁忙期で予約が取れず時期がずれ込むことで、人的・時間的なリソースも消費する。
一般的なオフィス移転の繁忙期は以下の時期となる。
1-3月:3月の決算に合わせて経費のピークをこの時期に持ってくる企業が多いため
9-12月:12月の決算に合わせて、またはオフィスの管理会社や不動産会社が年末休業に入る前に移転を済ませる企業が多いため
5月:新入社員の研修終了後、現場に合流する時期に合わせて新オフィスを稼働させる企業が多いため
早い段階で計画を進めておけば、上記を避けて移転時期を設定することも可能だ。
【期間・フェーズ別】オフィス移転のタスク一覧と進め方
ここからは、オフィス移転の具体的なスケジュールと、それぞれの時期にやっておくべきタスクをチェックリストで紹介する。
1つ1つの項目は業態や目的により若干時期が異なるため、自社の状況に合わせてカスタマイズすればより最適なものとなるだろう。
【1年-8カ月前】企画・要件定義
移転の1年前から8カ月前は、プロジェクトの成功を左右する「企画・要件定義」のフェーズだ。この時期に最も重要なのは、単なる物理的な場所の移動ではなく、将来の事業成長や働き方の変革を見据えた戦略を立てることである。
まずはプロジェクトチームを結成し、移転の目的(コスト削減、人員増への対応、ブランディング強化など)を明確化する。並行して現状のオフィス課題を洗い出し、新しいオフィスでどのような働き方を実現したいかというコンセプトを策定しなければならない。
これらの要件を基に概算予算やスケジュールを組み立て、経営層との合意形成(稟議)を図るのがこの期間のゴールだ。ここでの決定事項がその後の物件選定や内装設計の基準となるため、時間をかけて議論を尽くす必要がある。
この時期に行うべき作業のチェックリストを作成したので、抜け漏れがないか確認しつつ進めてほしい。