居抜きオフィスとは?セットアップオフィスとの違い
居抜きオフィスとは、賃貸オフィスに入居する際に、前の入居者(会社)が使用していた設備機器・内装といった造作物などを撤去せず、残置物として使用する形態のオフィスのことをいう。
オフィスにおける具体的な残置物とは、例えば以下のようなものがある。
カーペット
ブラインド
パーテーション
カウンター
書類棚
デスク
配線(床下を含む) など
一般的な賃貸オフィスでは、入居者は退去の際に上記のような設備・内装といった造作物を撤去するなど、入居前の状態に戻す「原状回復」の義務を負う。
居抜きオフィスでは原則この原状回復を退去時に行わず、次の入居者はそのまま引き継ぐ形で契約するのが特徴である。
一方、設備や造作がすべて取り除かれた状態の物件は「スケルトンオフィス」と呼ばれる。
居抜きオフィスと似た形態に「セットアップオフィス」があるが、セットアップオフィスでは設備・内装などがあらかじめ備えられており(物件によって程度が異なる)、その導入費用を貸主(物件のオーナー)が負担するのが大きな違いとなる。
契約から入居までの工事期間の短縮、工事費用・什器購入費などを削減できる点は共通しているが、居抜きオフィスでは引き継いだ残置物の修繕費用が借主負担となる点や、セットアップオフィスではレイアウトの変更などを自由に行えず貸主と協議が必要な点など、いくつか相違点があり、検討時には両者の違いを把握しておく必要がある。
【居抜きオフィスとセットアップオフィスの相違点の例】
参照:JLLproperty.jp ※上記は一般的な例であり、物件により賃貸条件等が異なる場合もある
"居抜きオフィスでは内装工事の必要がないため初期費用が安く抑えられる傾向がある"
移転の検討から業務開始までの時間を短縮できる
一般的な賃貸オフィスへの入居にあたっては、賃貸借契約締結後に内装工事や備品の搬入を行うが、計画や見積もりなどを含めると作業が完了するまでには数カ月以上の長期間を要することがある。
居抜きオフィスではこういった期間を大幅に短縮できるため短期間での移転が可能になる。
入居時の内装工事コストや工事中の賃料負担を削減
一般的なオフィスでは、床はもちろん場合によっては天井や壁なども含め入居前に内装工事を行う必要があるが、居抜きオフィスでは前テナントから内装造作物を引き継ぐため、その分の内装工事が不要になるため初期費用が安く抑えられる傾向がある。また、工事期間に発生する賃料負担が削減できることも見逃せない。
賃料負担が相対的にセットアップオフィスよりも低い
居抜きオフィスの入退去で失敗しないために
居抜きオフィスへの入退去ではそれぞれ次のような失敗が想定される。事前に十分な対策を取り、思わぬ費用負担やトラブルを避けるようにしたい。
入居時にありがちな失敗
居抜きオフィスへの移転・入居では以下のような点で失敗する可能性がある。
レイアウトが自社の用途に合っていない/変更できない
譲受した残置物の修繕や廃棄・買い替えが発生する
クリーニングが不十分で自社で手配しなければならない など
上記のようなケースでは、せっかくコスト削減のために居抜きオフィスを選択したのに、結局さまざまな費用が発生し、費用対効果が低下してしまう。
こういった注意点を通常の業務をこなしながら担当者がすべてクリアするのは困難なことも多いが、専門家に仲介や支援を依頼すれば、専門知識や豊富な経験・実績に基づいてステークホルダーとの意見調整や手続きを進めることができる。スムーズな入退去ができ、思わぬ費用発生などのトラブルも回避できるためおすすめの方法である。