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東京圏と大阪圏に集中するデータセンターが地方へ

タブレットを操作するワーカーの様子
今後のデータセンター整備にかかる方向性には、東京圏と⼤阪圏を補完・代替する中核拠点の整備によるレジリエンスの強化、地域における分散型データセンタセンターの整備、脱炭素電源の活用が挙げられている

現在、データセンターの立地は東京圏と大阪圏が大半を占めている⼀⽅で、脱炭素電源の供給は地⽅の⽐率が⾼いという状況が存在している。このような状況を踏まえて、今後のデータセンター整備にかかる方向性には、東京圏と⼤阪圏を補完・代替する中核拠点の整備によるレジリエンスの強化、地域における分散型データセンタセンターの整備、脱炭素電源の活用が挙げられている。

補助金の交付も決定済みであり、総務省の「データセンター地方拠点整備事業」の採択事例には、ソフトバンクとIDCフロンティアによる北海道苫小牧市における開発が挙げられる。将来的に、受電容量は300MW超まで拡大する見込みであり、北海道内の再生可能エネルギーを100%利用する地産地消型のグリーンデータセンターである。

データセンター不動産投資に脚光、利回り低下

東京圏データセンター取引の利回りに関する図表
データセンターの計算力に関する図表

データセンター開発における2つのトピックス

一方、データセンターにとって避けては通れないトピックスが「エネルギー効率の改善」と「コスト上昇」であろう。

トピックス1:エネルギー効率の改善


国連の責任投資原則を受けてESGへの配慮を求める動きが拡大し、グリーン成長戦略ではデータセンターのカーボンニュートラル目標を2040年に設定している。電力消費量の大きいデータセンターにとって、エネルギー効率はE分野にかかわる重要な課題である。

また、耐震性能や自然災害対策はS分野における項目に含まれる。対策としては、最先端の技術や設備の導入が有効である。また、サステナビリティ戦略の計画、実行、管理の外部発信には、テクニカルビルディングアセスメント、パフォーマンスデータ管理を経て、建築物や街区の環境性能を評価する認証の取得が有効である。

米国では、大手プラットフォーマーが地熱発電活用やクリーンエネルギー発電所に直結したデータセンターを取得している。今後、日本でもより持続可能性に配慮した取り組みが求められるであろう。例えば、2024年9月に港区港南に開設予定のEquinix TY15は100%再生可能エネルギーで運用されるAIデータセンターとなっている。

トピックス2:コスト上昇


土地価格、建設価格、労働力需給の逼迫を反映した昨今の開発コストの上昇、また電力価格の上昇は、デベロッパーの計画に影響を与え、場合によっては投資回収計画の見直しや戦略の再評価が必要となっている。

今後は、データセンター事業においては、事業企画立案フェーズにおける外部の専門家との協働が重要になるであろう。外部の知見は、事業の質とスピードを高め、投資家の意思決定を支援する役割を果たす。

日本のデータセンター市場の見通しは、明るいものとなっている。データセンターは、デジタル化と脱炭素に取り組む場を企業に提供し、持続可能で強靭な収益と成長を不動産投資家にもたらす。

※本稿で言及した各データ・詳細情報は下記のレポートをご覧ください。

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