コロナ禍から回復しつつある大阪マーケットは、万博やIRが追い風となって今後さらに活性化するものと期待される。
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期待が高まる大阪の不動産投資市場
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ホテル取引がけん引
2023年上半期の大阪圏の不動産投資額は前年同期比52%増の2,973億円となり、国内投資総額に占める割合は前年同期横ばいの14%だった(図1)。2022年に大幅に落ち込んだ大阪圏の不動産投資市場は、経済回復と低金利に支えられ急速に改善しつつある。
セクター別投資額割合では、ホテルが37%と最も高く、物流施設34%、オフィス21%、リテール4%、賃貸住宅3%と続く。日本有数の観光都市である大阪や京都でホテルの取引が複数みられた。代表的な事例として、3月にBentall GreenOakがロイヤルホテルから500億円超で取得したと言われるリーガロイヤルホテルが挙げられる。大阪圏ではアフターコロナを見据えてホテルの取引が活発になっている。
図1: 大阪圏(大阪府・兵庫県・京都府・奈良県)の不動産投資総額 出所:JLL日本 リサーチ事業部
万博、IRを追い風に人々を惹きつける
2023年5月の宿泊施設延べ宿泊者数はコロナ禍前(2019年同月)と比べて大阪府で103%(日本人108%、外国人96%)、大阪圏で101%(大阪103%、兵庫106%、京都98%、奈良83%)まで回復
実際、アフターコロナ時代の本格的な幕開けを迎え、大阪の街には活気が戻りつつある。観光庁の公表値によると、2023年5月の宿泊施設延べ宿泊者数はコロナ禍前(2019年同月)と比べて大阪府で103%(日本人108%、外国人96%)、大阪圏で101%(大阪103%、兵庫106%、京都98%、奈良83%)まで回復している。
また、大阪では2025年大阪・関西万博の開催に向けた準備が加速している。会場となる夢洲の開発に加え、航空路の玄関となる関西国際空港の大規模リノベーション、大阪市中心部から夢洲への陸路となる大阪メトロの延長、周辺エリアから大阪へのアクセスを高める阪神高速道路の整備なども進められている。
さらに、夢洲には2030年にIR統合型リゾート(IR)の開業も計画されている。国際会議場、カジノ、ホテル、エンターテイメント施設、飲食施設、物販施設などからなる総延床面積約77万㎡の超大型複合施設の開発事業がこれから本格化する*。「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画」**によると、建設フェーズの雇用創出効果は約11.6万人と想定され、開業3年目期のIR施設雇用従業員は約1.5万人、IR区域来訪者数が約1,987万人、後背圏(大阪圏および和歌山、滋賀、福井)来訪者数が約12,335万人と見込まれている。
万博やIRが追い風となり、大阪は今後ますます国内外から多くの人々を惹きつけるだろう。それは、大阪および大阪圏の持続的で安定的な経済活動、ひいては大阪圏の不動産市場の活性化に大きく寄与するものと期待される。