2025年、東京のフレキシブルオフィス市場が成長の勢いを取り戻す
著者
中丸 友世
JLLリサーチの半期レポート「東京フレキシブルオフィスダイナミクス2025年下半期」によると、2025年下半期、東京都心5区におけるフレキシブルオフィスの新規供給は12,900㎡増加し、通年の新規供給は34,800㎡に達した。2025年末時点で、東京都心5区におけるフレキシブルオフィス総ストックは7%増加し、ほぼゼロ成長だった2024年から状況が一変している。
「質への回避」による一等地への出店が相次ぐ
フレキシブルオフィスは、ハイブリッドワークの定着でスタートアップ企業と大企業の双方からの堅調な需要により、プライムビルに展開している既存拠点の増床や一等地における新拠点開設でネットワーク強化を進めている。
都心部で一層顕著なワークプレイスの「質への逃避」で、高品質・高グレードなビルに対する需要が高まっており、フレキシブルオフィス事業者も一等地への出店に注力している。
例えば、2025年年初にはシンガポールに本社を置くJustcoが既存コワーキングブランド「Justco」を運営している「グラントウキョウサウスタワー」9階に、同社の最高級ブランド「The Collective」を開設した。2025年4月には三菱地所が「丸の内ビルディング」に自社運営の「XLINK」旗艦店を開設している。さらに下半期にはリージャスの「Signature」が「日本生命丸の内ビル」にオープンするなど、高級シリーズの拡大が続いている。
フレキシブルオフィス市場全体で勢いが増す
国内デベロッパーである中央日土地建物のコワーキングブランド「SENQ」は4年ぶりの新拠点を「ミタマチテラス」に開設。三井不動産も数年ぶりに自社運営のコワーキングブランド「ワークスタイリング」をAグレードオフィス「飯田橋グラン・ブルーム」と「渋谷サクラステージ」に展開している。
このため、2025年第4四半期、東京都心5区におけるフレキシブルオフィスの1席あたり平均月額利用料は、前年同期比で約10%上昇している。既存拠点の稼働率が回復し、新規拠点が高グレードビルに出店していることで都心部の平均利用料が上昇している。
図表1:東京都心5区におけるフレキシブルオフィスストック*の推移 (総貸床面積:㎡2025年第4四半期時点) 出所:JLL日本 ※東京フレキシブルオフィスストックは全グレードを含む
今後の展望
今後を見据えると、都心部におけるフレキシブルオフィス市場の勢いは続くと予想される。既に都心5区には、2026年上半期において複数オペレーターの新規拠点開設が発表されており、「Signature新宿アイランドタワー」や「The Executive Centre TOFROM YAESU TOWER」が開業を控えている。下半期にも複数拠点の開業が予定され、来年開業の大規模拠点も発表されている。AIの普及により、柔軟な利用条件で、魅力的なビルスペックかつ即入居が可能なフレキシブルオフィスの需要は一層高まるとみている。