メインコンテンツにスキップ

90%以上が予約契約

JLL日本 リサーチ事業部の調査によると、2025年第3四半期時点で、東京Aグレードオフィスの新規供給における予約契約面積は新規賃貸面積の40%以上を占め、年初から第3四半期までの竣工時に90%超の内定率を確保できているビルは、新規供給の半分以上であった。

東京都心5区におけるこのオフィス床に対する旺盛な需要増は、働き方改革の必要性、堅調な企業業績に伴う事業拡大・人員増などを背景に、大手テナントを中心にしたオフィス移転需要に支えられている。

例えば、自動車部品メーカーのAstemoは2026年秋に「TOFROM YAESU TOWER」に本社を移転し、警備機器メーカーの東亜建設工業が人員増加と事業拡大を見込んで「高輪ゲートウェイシティ ザ・リンクピラー2」への移転計画を発表している。いずれも複数フロアが賃借される予定である。

別の事例では、大阪に本社を置く間接資材の通販大手であるモノタロウが来春、2025年10月に第2期竣工を迎えた「赤坂トラストタワー」に東京支社を移転する。新本社のオープンなデザインとレイアウトが従業員間のコミュニケーションを活性化し、より創造的で効率的な業務を可能にすることで、企業価値の向上と持続的成長につながることを期待しているという。

3年後の2028年の竣工時には日本最高層のオフィスビルとなる三菱地所の大注目プロジェクト「Torch Tower」でもすでに予約が進んでいる他、渋谷、赤坂・六本木、品川で開発中のプロジェクトでも内定が次々に決まっている。

高額な内装工事費と原状回復費用がオフィス移転を抑制しながらも、既存ビルで枯渇しつつある賃借可能床の“争奪戦”が繰り広げられているため、竣工前の新規供給床に対する契約成立のペースは以前よりも速くなっている。渋谷などの一部のサブマーケットでは数年前から新規供給床は容易に埋まっていたが、一部のビルでは時間がかかった(ただし最終的には横浜から移転した単一テナントによって完全に賃借された)。

しかし、市場全体を俯瞰すると2026年供給予定の約46万㎡のうち既に約60%が内定となっており、勢いが強いことを示している。東京駅周辺には空室がほとんど存在しないため、主に丸ノ内・大手町の新規供給床は強い需要を見込まれる。

2026年に竣工予定のAグレードオフィスの位置を示した東京の地図

2026年に竣工予定の東京グレードAオフィスの新規供給 出所:JLL

関連記事「2025-2029年の東京オフィス賃貸市場の最新動向」はこちら

高付加価値を提供する次世代オフィスビル

新規供給オフィスの多くはラウンジや会議室、スパ、ワーカー向けのカフェなどのテナント向けのアメニティや付加価値施設を備えており、テナント企業の生産性向上や優良な体験に資するものとして、ますます注目されている。

オックスフォード・エコノミクスによると、東京のGDP成長率は2025年に1.5%上昇すると予想されており、昨年記録した0.7%から上昇する見込みである。特に金融とIT部門が牽引役となり、後者は最近のオフィス回帰の義務化によりオフィス拡張移転が活発になると予想されている。

最近の東京オフィス賃貸市場は国内企業が主導しているが、競争力の高い物件が増加していることから、外資系企業による一等地への移転も大いに期待されている。