博多駅からわずか1駅、電車で3分程度に位置するJR竹下駅周辺の不動産市場がにわかに活況を呈している。ららぽーと福岡の開業、アサヒビール工場移転に伴う再開発への期待などを背景に、地価上昇率は10%超を記録。福岡の不動産投資市場においても存在感を高めている。
「ららぽーと福岡」にて2022年春公開予定の「実物大νガンダム立像」 ©創通・サンライズ 画像提供:三井不動産
今回は福岡市内で最も注目を浴びているエリアの一つ「JR竹下駅周辺」を紹介する。
1. 「ららぽーと福岡」開業
前回記事「2022年は福岡市が国際都市へ飛躍するチャレンジの年に」で取り上げたように、福岡市の今年一番の商業トピックスは2022年4月25日に九州初の「ららぽーと福岡」が開業することである。博多区那珂に竣工した「ららぽーと福岡」は「実物大νガンダム立像」がそびえ立つ大規模ショッピングセンターで、敷地面積86,600㎡ 延床面積206,400㎡で約200店以上が出店する。
これを受けて「ららぽーと福岡」の最寄り駅となるJR竹下駅周辺の不動産市場は沸き立っており、賃貸及び分譲マンション需要の高まりを受けて住宅地、商業地とも年間10%以上の地価上昇率が続いている。JR竹下駅は博多駅から電車で1駅、時間距離で3分という好立地ながら、既存の工場等が多く目立たない存在だった。しかし「ららぽーと福岡」の出現で忽然と投資市場に躍りでた感がある。
2. 竹下駅周辺の地価上昇及び賃料上昇
地価・賃料上昇が顕著なJR竹下駅周辺 画像提供:PIXTA
3月23日に地価公示価格が発表になった。今回発表になったJR竹下駅周辺の地価公示価格(価格時点2022年1月1日)と、「ららぽーと福岡」が地価に与える影響を測定されるために新設されたと思われる地価調査ポイント(価格時点2021年7月1日)の価格推移を見てみよう。「ららぽーと福岡」が出店するという発展要因を受けてコロナ禍にもかかわらず住宅地、商業地とも年間10%以上の上昇を示している。
●地価公示ポイント
福岡南-23(住宅地 価格時点毎年1月1日)
博多区諸岡1-23-27
3年間で地価は約1.5倍に高騰している
●地価公示ポイント
福岡博多5-8(商業地 価格時点毎年1月1日)
南区塩原1-28-12
3年間で地価は約1.3倍になっている
●地価調査ポイント
福岡博多(県)-8(住宅地 価格時点毎年7月1日)
博多区那珂6-16-16
2019年新設ポイント
●地価調査ポイント
福岡博多(県)5-15(商業地 価格時点毎年7月1日)
博多区竹下4-15-8
2019年新設ポイント
次に、賃貸マンションの賃料動向について考察する。
JR竹下駅周辺の賃貸マンションの賃料は下のとおりで、築15年程度経過している1DKの賃料相場は5,500-6,000円/坪であり、賃料変動率は3-4年前と比較して5-10%程度上昇している。
また、新築の賃貸マンションの賃料についてみてみる。
JR竹下駅周辺の新築賃貸マンションの賃料相場は、下のとおり7,000-8,000円/坪であり、「ららぽーと福岡」が出店することによる利便性の向上を反映して、新築の募集賃料は一気に10%以上高騰している。
3. アサヒビール博多工場
アサヒビール博多工場は九州管内では一番早く創業したビール工場で、創業から100年という長い歴史を誇り、「JR竹下駅」と聞けば誰もがアサヒビール博多工場を連想するシンボル的な存在である。このアサヒビール博多工場は、新型コロナによる「ビール離れ」で国内市場の拡大が見込めないこと等により合理化の一環として移転が決定しており、博多工場は2025年末に稼働を終了すると発表された。新ビール工場の場所は博多工場の近隣か福岡県内になる可能性が高いと報じられている。
アサヒビール博多工場跡地の今後の利活用については今のところ不明だが、自社による開発の場合も第3者による開発の場合にも、2026年以降、約12万㎡の超大規模地の開発素地が出現することになる(アサヒビール博多工場内には福岡平野で最大級の前方後円墳が保存されており、一部は古墳公園になる可能性もある)。規模的には「ららぽーと福岡」の敷地が約86,600㎡なのでそれを上回る規模になる。JR竹下駅まで徒歩3分、竹下駅から博多駅まで電車で約3分という立地条件を勘案すれば、店舗、住宅、エンターテイメント施設等どれをとっても成功する確率が高く、今後の福岡市の注目スポットになること必至である。
まとめ
「ららぽーと福岡」の開業に加え、アサヒビール博多工場の移転によって注目度が増すJR竹下駅周辺
JR竹下駅周辺は、現在福岡市内でも最も話題性のあるホットな場所の一つであり、「ららぽーと福岡」の出店等により将来的な発展性が約束されている場所である。今後、JR九州の手によるJR竹下駅の開発(例えばステーションビル、ステーションホテル等)も考えられるため、10年後には様相が一変している可能性が高い。
不動産投資市場の中でも、必ずバリューアップの見込めるエリアとしてその人気は沸騰中である。