回復”から“成長”へ
2020年、2021年に大阪を代表する商業地ミナミ(心斎橋・難波)の地価公示が2年連続で全国トップの下落率になった際に、大阪の不動産市場はその依存度の高さから「インバウンド頼み」などとネガティブな見解が目立った。
確かに大阪(関西)経済においてインバウンドの寄与度が大きいことは事実である。しかし、百年に一度と言われる感染症による影響の大きさよりも、インバウンドにおける世界有数の人気都市であるという事実に重きを置くのが不動産投資においては妥当な判断といえよう。
復活の号砲ではなく、回復から成長ステージに移行している。世界有数のインバウンドの人気都市“大阪”の逆襲がはじまろうとしている
そして、2022年5-7月の関西国際空港の外国人旅客数は、コロナ禍以前の2019年の同期に対して72%、2022年5-7月の大阪府の延べ宿泊者数は、同96%まで回復している。もはや「復活の号砲」ではなく、回復から成長ステージに移行している。世界有数のインバウンド人気都市“大阪”の逆襲がはじまろうとしている。
データが示す外国人旅客数の回復
データが示す宿泊者数の回復
2019年5-7月の大阪府の延べ宿泊者数は345万人/月平均、1年前の2022年の同期は201万人/月平均であったのに対して、2023年5-7月は332万人と2019年比で96%、前年同期比で165%にまで回復している。
注目すべきは、日本人・外国人宿泊者双方が増加している点だ。大阪はインバウンドばかりが注目されがちであるが、日本人旅行者からも人気が高く、2023年5-7月は214万人と2019年比で104%、前年同期比で108%となり、いずれも増加している。大阪を中心に京都、神戸、奈良、和歌山を含めて関西の観光資源の豊かさが背景にあると考えられる。
外国人の宿泊者数においても2023年5-7月は118万人と2019年比で85%と、コロナ禍以前の水準に近づいている。関西国際空港を経由しなくても、宿泊地として大阪が選好されるケースが多いとみられ、訪日旅行の目的地として大阪を訪れたいと考える外国人が多いことを示唆している。
大阪府の延べ宿泊者数 出所:観光庁「宿泊旅行統計調査」をもとにJLL作成(大阪府、従業員数10名以上の施設)