柔軟な働き方の実現とオフィスコストの削減につながる「シェアオフィス」の特徴やメリットとデメリット、混同されやすい「サービスオフィス」や「レンタルオフィス」、「コワーキングスペース」、「サテライトオフィス」との違い、失敗しないシェアオフィスの選び方を紹介する。
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シェアオフィスとは?自社に最適なオフィス選択のために知っておきたい特徴と注意点
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シェアオフィスが普及した背景
シェアオフィスは一部の業種では古くから普及していたが、大部分の一般企業では全従業員が出勤することを前提に長期的なオフィス契約を結んでいた。しかし、リーマンショックにより景気が停滞するとコスト削減や効率化が求められ、その手段の1つとして「シェアオフィス」がクローズアップされるようになった。
そして、2015年に国連でSDGsが採択されると、オフィス環境にも多様性やサステナビリティが求められるようになったこともシェアオフィスの需要が拡大するきっかけになった。自社オフィスを離れて快適な場所を選んで働く「コワーキングスペース」や「ワーケーション」といったワークスタイルも登場。さらに2020年からのコロナ禍によってリモートワークが急速に普及した結果、従来の固定的な本社機能を社会や事業の変化に合わせてフットワーク軽く対応できるシェアオフィスなどの「フレキシブルオフィス」に転換する企業が増えつつある。
シェアオフィスとサービスオフィスの違い
サービスオフィスとは、ビジネスに必要な設備とラグジュアリー感のある内装が施された個室型のフレキシブルオフィスである。通信環境や事務機器などは事前にすべて備え付けられており、受付や雑務のサポートをしてくれるコンシェルジェも常駐するところがシェアオフィスと異なる。費用はシェアオフィスよりも高額で、好立地でグレードの高いオフィスに開設されることが多く、企業イメージやブランディング向上、快適な執務環境を得るのに適している。
シェアオフィスとレンタルオフィスの違い
レンタルオフィスも、サービスオフィス同様にビジネスに必要な通信環境や事務機器が一通り用意される個室型のフレキシブルオフィスであるが、サービスオフィスのようなラグジュアリー感を追求したものではなく、シンプルかつ実用的なオフィス機能に限定されることが多い。
シェアオフィスとサテライトオフィスの違い
サテライトオフィスとは、本拠地のコアオフィスとは異なる場所に開設する小規模なオフィスのことで、シェアオフィスやコワーキングスペース、レンタルオフィスなど各オフィスをサテライトオフィスとすることが可能だ。立地によって「都市型」、「郊外型」、「地方型」の3種類に分けられ、都市型のサテライトオフィスは地方や郊外に本社を構える企業の都心の拠点やBCP対策に、郊外型は通勤時間の短縮など従業員の利便性向上を主な目的とし、地方型は都心の企業が地方に事業展開する際の営業拠点や執務スペースとして設置することが多い。
シェアオフィスのメリット
他社や異業種の人々とのコミュニケーションから新しいビジネスチャンスが生まれたり、イノベーションをもたらしたりする可能性もある
一般的な長期契約の賃貸オフィスやリモートワークなどと比較して、シェアオフィスにはどのようなメリットがあるのか比較してみたい。
入退室や勤怠管理がしやすい
在宅勤務では、各自の勤務時間などが把握しづらい傾向があるが、シェアオフィスにはセキュリティーゲートなどが設けられ、本社へ出勤しない従業員の入退室や勤怠が明確になる。
シェアオフィスを利用する際に注意すべきポイント
シェアオフィスを検討する場合には、契約前にいくつか気をつけておきたいポイントがある。もれなくチェックしてシェアオフィス選びに失敗しないように注意したい。
入退室時のセキュリティは確実か
座席数やスペースは使用人数に対して適切か
会議室の数は利用者数に対して十分か
複合機等の機器の性能は十分か
空調や照明は適切か
インターネットの通信環境や速度は十分か
専有部だけでなく共用部も清掃等が行き届いているか
受付や電話対応などのサービスはあるか
周囲が騒がしすぎないか
乗り入れ路線や駅からの経路は効率的か
シェアオフィスに向いているのは?
好立地かつ高グレードの設備を有するオフィスビルに入居できるのがシェアオフィスのメリットだ。対外的にブランドイメージを高めたいスタートアップ企業や、フリーランスで活躍するコンサルタント・デザイナーなどにも特に向いているといえる。
シェアオフィスに向いていないのは?
シェアオフィスは、簡易的なパーテーションなどで各利用者のエリアを仕切っていることも多い。弁護士や行政書士などの士業では、事務所を開設する際に、情報漏えい防止等のための施策が求められる等の諸条件があるため、シェアオフィスでも独立した個室型を選ぶ必要がある。
押さえておきたい最新のオフィス戦略と傾向
オフィスデザインの起点は、モノからヒトへと変化しており、そこで働く人々のニーズや価値観が盛り込まれたものとなっている
自社に最適なオフィス選びの候補としてシェアオフィスを検討すると同時に、世の中にはどのようなオフィスのニーズと選択肢があるのか、今後どのように動いていくのかを知っておくことが欠かせない。
「どのようなオフィスを構築するか」……つまりオフィスデザインの起点は、モノからヒトへと変化しており、そこで働く人々のニーズや価値観が盛り込まれている。 その中でも主流となる4つのトレンドを紹介する。
オフィスデザインのトレンド1:ハイブリッドワークを実現する「フレキシブルオフィス」
毎日決まったオフィスへ出勤するのではなく、状況に応じて多様な場所で柔軟に働く場所や時間を選べる「ハイブリッドワーク」に注目が集まっており、それを叶えるための「フレキシブルオフィス」が求められている。
従業員の多様なニーズを満たすことで人材の確保につながるほか、オフィス賃料や通勤交通費などのコスト削減効果も見込める。
オフィスデザインのトレンド3:従業員のウェルビーイングを優先したオフィス環境
オフィス環境は従業員の心身の健康=ウェルビーイングに大きな影響を及ぼす。従業員個人のQOL(人生の質)の悪化、生産性低下や退職による事業活動への悪影響などを回避するため、オフィスデザインの観点からも従業員のウェルビーイングを守る取り組みがさかんになっている。
オフィスデザインのトレンド4:テクノロジーの活用
オフィスでIoTを活用し、快適性や生産性を高める取り組みも進んでいる。従業員の行動データを収集した分析結果をもとに、スペースの最適化やコミュニケーションの改善を図り、ソーシャルネットワーク・CRMツール・プロジェクト管理ツール等のテクノロジーを取り入れたハイブリッドなオフィス環境作りはさらに今後進むだろう。
シェアオフィスの利点を生かしたオフィス戦略を
シェアオフィスには、初期投資が少なく好立地・高グレードのオフィスでスムーズに業務を開始できるというメリットがある。一方で、セキュリティ面やランニングコストなど注意すべき点もある。
戦略的なオフィス構築には、自社の求めるオフィスの役割やシェアオフィスの特徴・メリットをしっかりと理解し、最適な結果に結びつくかどうか検証しながらすすめてほしい。
理想的なオフィススペースをお探しの方は下記よりお問い合わせください。