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九州大学箱崎キャンパス跡地利用の優先交渉権者が決定

福岡市では九州大学箱崎キャンパス跡地の入札が行われ、住友商事を代表企業とする8社(西日本鉄道、九州旅客鉄道、西部ガスなど)がコンソーシアムを組んだグループが優先交渉権を獲得した。

住友商事グループは、次世代通信基盤「IOWN」を活用した「スマートシティ」計画を掲げており、商業施設での顔認証決済やデマンド交通などを導入し、高速大容量の通信が可能な環境を実現するほか、居住面では2,000戸の分譲住宅などを整備する方針である。

九州大学のキャンパス自体は、2018年にすでに福岡市西区に移転しており(医学部を除く)、単一キャンパスとしては日本最大の272haを誇る大規模キャンパスが田園地帯に出現している。

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福岡経済界が注目する一大プロジェクト

密集した都市開発、背景の山々、中心部を通る主要高速道路を備えた沿岸都市の航空写真。

九州大学箱崎キャンパス跡地が位置する福岡市東区 画像提供:PIXTA

当初、九州大学箱崎キャンパスの入札については、福岡経済界を牽引する「七社会(九州電力、西日本鉄道、九州旅客鉄道、西部ガス、九電工、福岡銀行、西日本シティ銀行)」が一丸となって落札を目指していたが、アリーナを核としたまちづくりを標榜する九州電力グループと、スマートシティ計画を掲げる住友商事(西日本鉄道、九州旅客鉄道、西部ガスなど)グループとに別れることになった。

そして、売主側は2024年5月16日、九大箱崎キャンパス跡地(福岡市東区)の再開発事業について、4月に優先交渉権者を選定した審査の評価結果を公表した。

公表された審査結果を見ると、IT産業の研究拠点やデマンド交通などを取り入れた住友商事グループが1,000点満点中900.3点で最高評価を得た。今後1年半かけて九州大学などと住友商事グループ、さらに福岡市が協議して都市計画の変更などを行うことになる。

福岡経済界を賑わした“世紀”の大規模入札について一旦は区切りがついた。21世紀の福岡市を担うまちづくりが行われることに期待したい。

木製の安全柵、葉のない木々、遠くの建物が見える澄んだ青い空のある、何もない開発現場。

ほぼ更地となった九州大学箱崎キャンパス跡地 画像提供:PIXTA

グローバルに見て、住みやすい都市として評価されるためには、①文化的多様性、②美食とカフェ、③アートや音楽、④治安の良さ、⑤都市と自然の融合、⑥教育環境、⑦公共交通機関の充実が必須条件と考えている。

これらを前提に、箱崎キャンパス跡地の再開発に期待したいのは、外国人向けのインターナショナルスクール(ボーディングスクール)、エキスパッド向けの高級賃貸マンション、英語対応可能な病院などである。

さらに、福岡市は芸術的な魅力に乏しいので、アートや音楽に視点をあわせた取り組みが必須だろう。具体的にはフェスティバルやパブリックアート、美術館、パフォーマンスアート、シンフォニーや観劇などである。

再開発によってベルリンやバンクーバーのように音楽やアート愛好家にとって魅力的な場所であり、訪れる価値のある都市を目指してほしい。

東区が福岡市のさらなる発展に向けた次のエンジンに

曲線状の鉄骨屋根のデザイン、美しく整備されたエントランスエリア、駐車車両を備えたモダンな JR 箱崎駅の駅舎。