収益最大化を実現するホテルのバリューアップ戦略とは?外資系ホテルが重視するAM・PMのチームワーク
コスト高騰への対応を余儀なくされるホテル業界
ホテル&ホスピタリティ業界では建築費や人件費、そして備品購入費などのコスト高騰を受けて費用対効果の最大化を目指す動きが加速している。特に注目されているのが「バリューアップ戦略」だ。
ご存知の通り、バリューアップ戦略の骨子となるのは、不動産としての資産価値を向上させるための戦略的な改修工事などの実施である。
しかしながら、経年劣化した内装、家具、備品、設備機器等の交換など、単なる修繕・営繕としての設備更新に留まるケースもあり、一口に「バリューアップ」といえども、ホテルによってその考え方や取り組み方は様々だ。
では、バリューアップ戦略のポテンシャルを最大限に引き出すために必要な“触媒”とは何か?それは、秀逸な設計デザインでもなければ、事業の実現可能性でもない。JLLはバリューアップ工事に参画するチーム同士のシームレスなコラボレーションにあると考えている。
JLLアジア太平洋地域 ホテル&ホスピタリティ ヘッド・オブ・アドバイザリー&アセットマネジメント シニアマネージングディレクターのザンダー・ナイネンスは「アジア太平洋地域のホテル市場のトレンドは、ホテルオーナーはこれまで以上に戦略的なバリューアップ工事を志向するようになったことだ。資産価値を高めるだけでなく、その目的はROI(Return on Investment/投下利益率)の最大化といえるだろう。その際、ホテルアセットマネージャーとプロジェクトマネージャーを同時起用することが、より迅速にリターンの最大化を実現するための基盤づくりに繋がる」と力を込める。
こうしたホテルオーナーの考え方の変化に伴い、これまで数多くの外資系ホテルのバリューアップ戦略を支援してきたJLLのスキームが、日本のホテル業界でも注目を浴びるようになっている。
AMとPMによる相互補完型のバリューアップ戦略
JLLが提唱するホテルバリューアップ工事とは、戦略的なバリューアップ計画を立案するホテルアセットマネジメントチーム(以下、AMチーム)と、バリューアップ計画遂行の実務管理を担うプロジェクトマネジメントチーム(以下、PMチーム)が緊密に連携するスキームである。
従来は、ホテルオーナー・ホテル運営会社が改修計画を固め、AMがレビューをしたうえでPMを選定し、PMがオーナー代行として設計者や工事業者の選定、設計、施工へと一歩ずつ進める “直線的プロセス”が主流であった。しかし、AMとPMが計画初期段階からホテルオーナー・ホテル運営会社と並走する“並列的プロセス”を採用することで、実務を見据えた現実的なプロジェクト体制、スケジュール、投資コストの最適化を図りながら完成後の収益最大化も図る戦略立案を可能にしている。競争が激しい市場環境の中でのバリューアップ工事の早期実現、適正コストでの投資、ROI最大化という成果を得ることができると考えている。
AMチームの役割
JLLのAMチームはホテルオーナー・投資家と協働して、ホテルオペレーターからのROI提案を綿密にレビューし、収益の最大化を支援する戦略アドバイザーの役割を担う。具体的には、市場環境や競合ホテルの収益性を含む膨大なデータを分析し、オーナーの最終的な投資判断と収益性評価を高めるためのバリューアップ計画を策定する。
JLL日本 ホテル&ホスピタリティ事業部 エグゼクティブヴァイスプレジデント ヘッド・オブ・アセットマネジメントを務めるネイザン・クックは「ホテルオーナー・投資家のために短期・長期的な視点からバリューアップ工事のリターンを最大化し、更なる費用対効果の高いバリューアップ改修への投資も可能にする」と説明する。
●AMチームの主な役割
1. 売上や経費などのファイナンスの視点からホテルオペレーターがオーナーに提案するバリューアップ計画のROIを精査
2. オーナーの意思決定を支援し、投資目標に沿ったバリューアップ計画の策定
3. 市場環境や競合ホテルの収益性を含む膨大なデータなどを活用し、オーナーが保有するホテル資産の収益性を相対評価し、投資配分が的確かつ効率的、成果重視の改善策を立案
4. バリューアップを市場に浸透させ、最大の効果を得るためのマーケティング戦略の構築
PMチームの主な役割
PMチームは、新規開発や改修・移転工事などの不動産プロジェクトにおいて、プロジェクト予算や全体工程進捗の管理、品質やリスクの管理を担い、多くの関係者とのコミュニケーション調整をしながら、プロジェクト完成に導く建設工事の専門家である。プロジェクトの全体管理に加え、初期段階において、最適なプロジェクト体制や調達戦略の構築、全体工程やプロジェクト予算策定などオーナーの意思決定支援のために知見を発揮する。
JLL日本 プロジェクト・開発マネジメント事業部 シニアディレクター 高山 みちよは「ホテルのバリューアップ工事は計画策定後にPMを選定するのが一般的だが、『ROIの最大化』を実現するためには初期段階からPMが参画することで、オーナーとオペレーター双方が納得できるバリューアップ計画を戦略的に推進することができる」と説明する。
●PMの主な役割
1. オーナー・AMが立案(承認)したバリューアップ計画に対する妥当性を、技術的な観点から精査
2. 付加価値の最大化や早期収益化を実現可能とする、予算、スケジュール、調達戦略の策定
3. 市場環境や過去類似実績におけるデータベースや知見を活かし助言をし、オーナーの意思決定を支援
4. プロジェクト推進段階における全体予算やスケジュール進捗管理、各種入札の実施、引き渡し完了までのプロセスを管理
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JLL日本の場合、ホテルズ&ホスピタリティ事業部に所属するAMチームとプロジェクト・開発マネジメント事業部に所属するPMチームがそれぞれ独立して事業展開しているが、複数の並行作業を同時に進める必要があるホテルのバリューアップ工事プロジェクトにおいては、その最終目標である「ROIの最大化を実現する」という共通認識があり、どちらか一方を起用するだけでもオーナーが享受できるメリットは大きいが、2つのチームが双方を補完し合う共同促進体制とすることで「ROI最大化」を実現できる可能性がさらに高まる。
2つのチームが早期連携するメリット
JLLのアプローチから生み出されるシナジー効果は次の3点が挙げられる。
1. 工期短縮による市場投入の加速
AMとPMが早期に連携することで、財務戦略と建築実務の双方を並行してバリューアップ工事を推進することが可能になる。これにより、技術・財務・運用面など多角的に生じる工事阻害要因に早期対応することができる。また、バリューアップ計画の実現可能性を早期に見極めることができ、計画自体の全体的な見直しに伴う追加コストの発生や工期の遅延を回避。両チームが共通認識のもと工事を推進することができ、早期に宿泊需要を取り込める。
2. 低稼働スペースの有効活用
AMとPMによる二重の評価を通じて、ホテル内の未活用スペースの有効活用策を立案。さらなる収益向上を支援する。工事・運用面における実現可能性の評価も含まれており、収益性の向上と宿泊客の満足度向上、ホテル市場におけるブランディングの強化を図ることができる。
3. コスト管理の改善
最小限の投資額に対して最大の価値向上が達成できるよう、ホテルオペレーターが策定したバリューアップ計画の詳細内容を精査し、想定工事費の試算や調達戦略を提案する支援を行う。バリューアップ計画の実現可能性が確認できた後のプロジェクト推進段階では、全体の予算管理、スケジュール管理、各種入札の実施、設計や工事の進捗管理業務を実施する。
ホテルバリューアップ工事のご相談はJLLへ
支援会社の協力、投資資金、市場でのポジショニングの見極めなどがホテルのバリューアップ工事において成否の鍵を握ります。そして最大限の成果を引き出すには戦略性が必要不可欠でしょう。
JLLでは、外資系・日系問わず数多くのホテルのバリューアップ工事を成功に導いてきたAMとPMの実績・知見を通じて、ホテルオーナーとオペレーターの異なる意見を取りまとめ、収益の拡大と運営パフォーマンスの向上を支援しています。
バリューアップの他、ホテル投資・運営における課題解決、オペレーター選定の支援などのホテル&ホスピタリティ不動産に関する課題解決をご希望の方は下記よりお問合せください。