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40年超を経て完成を迎えるMM21地区

1983年から事業が始まった横浜市・みなとみらい21地区(以下、MM21地区)。40年超が経過した今、開発進捗度は96%を超え、この壮大なプロジェクトは完成の時を迎えようとしています。90年代当時は原っぱ然とした未開発地が広がり、めぼしいAグレードオフィスは「横浜ランドマークタワー」ぐらい。それが、今や東京都心部にも負けない高グレード・高スペックのオフィス街に変貌を遂げました。

MM21地区の魅力…それは、まさに日本屈指の貿易港である横浜を象徴する“多様性”といえるのではないでしょうか。東京都心部の最新鋭オフィスビルと遜色のない高スペック・高グレードのオフィスビルが集積する業務機能の充実度。なおかつ東京に比べて月額坪当り15,000 円程度も賃料が値ごろになっています。

また、「クイーンズスクエア」などの大型複合施設、国際会議や大規模展示イベントにも対応する「パシフィコ横浜」、その他ラグジュアリーホテルや美術館、タワーマンションなどが集積し、近年注目される「職住遊」が近接した街を形成。加えて、港町ならではの開放感、洗練された街並みなど、感性に訴える風光明媚な街並みも魅力です。

図1 東京と比較した横浜エリアの賃料水準 出所:JLL日本 オフィス リーシング アドバイザリー事業部

オフィス街としての8つ特徴

MM21地区のオフィス街としての特長を次のようにまとめてみました。

1. 交通アクセス:東京都心まで電車で30分程度の至便性

2. 高品質なオフィスビル:最新の設備を備えた高機能なオフィスビルが多数集積

3. ウォーターフロントの開放感:海に面した開放的な環境がワーカーのウェルビーイング向上に寄与

4. 充実した商業施設・飲食店:「みなとみらい東急スクエア」、「ランドマークプラザ」、「MARK IS みなとみらい」などの大型商業施設が集積。飲食店も充実し、お昼時でも長時間待たずに入店可能

5. ビジネスとカルチャーの融合:美術館や音楽ホールなどの文化施設が充実し、業務機能と文化機能が融合した刺激的な環境

6. MICE機能の充実:ラグジュアリーホテルやパシフィコ横浜など、国際会議や大型展示イベントに対応できる施設が充実

7. 災害に強いインフラ:強化された地盤や非常用電源の確保など、高度な災害対策が施されており、BCP対応に寄与

8. 持続可能な都市開発・環境に配慮したスマートシティの要素を取り入れた先進的な街づくりを実践

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ウォーターフロントが魅力のMM21地区

画像提供:PIXTA

MM21地区は1983年-1998年に埋め立て工事によって誕生した人工島であり、関内・伊勢佐木町地区と横浜駅周辺地区に二分されていた都市機能を一体化。オフィス、文化施設、商業施設などの多彩な機能を集積し、雇用や賑わいを創出し、経済の活性化と経済基盤を確立することで、横浜の自立性を強化することが目的としています。(参照:横浜市

埋立地であったため、広大な開発用地を確保しやすく、大型開発を進めやすいかったこともAグレードオフィスが集積する理由の1つといえるでしょう。

一方、埋立地であるため、地震・津波などの災害によって地盤沈下や液状化のリスクが高いと思われがちですが、様々な地盤改良技術を導入したことで湾岸にありながら“災害の強い”街としても知られており、MM21地区のオフィスビルを管理受託するJLLの担当者によると「BCP(事業継続計画)の観点から当該エリアに移転を希望する企業は少なくない」と指摘します。

みなとみらい線開通が発展を後押し

従前、MM21地区の最寄駅といえばJR桜木町駅でした。当時を知るJLLの担当者によると「桜木町駅から“動く歩道”に乗って出社するオフィスワーカーの行列が目をひいた」そうです。とはいえ、その距離は徒歩7分超。徒歩圏内とはいえるものの、駅直結型のオフィスビルが当たり前になりつつある現在、この距離は決して利便性が高いとはいえませんでした。

この状況が変わったのが2004年2月に開通した横浜高速鉄道みなとみらい線の存在です。横浜駅と元町・中華街駅を結び、開業と同時に東急東横線との相互直通運転を開始。渋谷駅までの交通利便性が劇的に改善されました。バブル崩壊の余波で不景気だった1990年代末期から2000年代初頭にかけて新規開発が停滞するものの、みなとみらい線開通以降にオフィスビルが次々と竣工していくことになりました。

ちなみに、みなとみらい線開業以前は「横浜ランドマークタワー」の他、「日赤横浜ビル」(1997年竣工)や「横浜銀行本店ビル」(1993年竣工)が存在していましたが、みなとみらい駅直結の「みなとみらいセンタービル」(2010年竣工)周辺は平屋建てのプレハブ施設やロードサイド型のファミリーレストランが点在していた程度。空き地に雑草が生い茂り、“原っぱ”が広がっていたといいます。

みなとみらい駅の入口

画像提供:PIXTA

MM21地区のテナントニーズ

高品質・高グレードのオフィスビルが集積し、大手自動車メーカーの本社をはじめ、国内外大手企業の研究開発拠点が集積していることから、グループ関連企業や取引先企業が近隣にオフィスを構えるケースが少なくありません。

JLLの担当者によると「MM21地区に拠点を構える企業が外部エリアに流出することは珍しく、エリア内で移転先を手当てするケースが多い」といいます。

手厚いインセンティブで大手企業の本社を誘致

他方、ビルグレードの向上を視野に川崎、新横浜、関内などの周辺エリアからの移転や、企業立地促進条例に基づく税軽減・助成金などの手厚いインセンティブを目当てに東京からの移転を検討する企業も存在します。例えば、カルチュア・コンビニエンス・クラブの関連会社であるCCCMKホールディングスが本社等を当該エリアに設置するに伴い、5年間で5億2,300万円の法人市民税課税免除の支援を受けるとのこと。(参照:横浜市 記者発表資料

東京から神奈川への“越境”は移動コストの負担増に伴う既存従業員の反発などが大きいとも聞きますが、手厚いインセンティブに加え、賃料水準が都内中心部の半値程度でありながらビルグレードは遜色ないという点もMM21地区の人気を下支えしているようです。

企業移転情報テーブル

東京からMM21地区に移転した主な企業

社名 時期 移転元 入居ビル
日産自動車 2009年8月 東京都中央区 日産自動車グローバル本社
オーケー 2016年9月 東京都大田区 オーケーみなとみらい
京浜急行電鉄 2019年9月 東京都港区 京急グループ本社ビル
いすゞ自動車 2022年5月 東京都大田区 横濱ゲートタワー
ヤマハ 2024年10月 首都圏 横浜シンフォステージ
カルチュア・コンビニエンス・クラブ 2025年5月 東京都渋谷区 横浜コネクトスクエア
関西ペイント(東京事業所) 2025年10月 東京都大田区 横浜シンフォステージ

出所:各社のプレスリリースなどを基にJLL作成

研究開発拠点も増加

 

行政の手厚いインセンティブは本社機能のみならず、研究開発拠点の誘致にも大きく寄与しています。例えば、サムスン電子(日本サムスン)は「リーフみなとみらい」にポスト5G情報通信システムを支える半導体技術の研究開発拠点の開設を発表していますが、投下資本額250億円に対して助成金25億円が予定されています。

研究開発拠点を新規開発するケースもありますが、開発用地が枯渇しつつある昨今、既存オフィスビルのリノベーションなどの有効活用が目立ち始めました。社内外の企業・人材の交流に主眼を置いたイノベーションセンターも増えており、首都圏に多数居住する研究者の人材獲得も目的とされています。

企業情報テーブル

MM21地区の研究開発拠点

社名 業界 拠点
サムスン電子 半導体 リーフみなとみらい
東京エレクトロン 半導体 横浜シンフォステージ
資生堂 化粧品 資生堂グローバルイノベーションセンター
三菱電機 DX 横浜アイマークプレイス
村田製作所 自動車、IoT、ヘルスケア、エネルギーなど 村田製作所 みなとみらいイノベーションセンター
TSMC 半導体設計技術 みなとみらいグランドセントラルタワー

出所:各社発表、報道などを基にJLL作成

MM21地区に集積するAグレードオフィス

2025年第1四半期末時点のオフィス市況

JLLの調査によると、2025年第2四半期末時点における横浜エリア(横浜駅周辺・MM21地区)の空室率は7.1%。賃料水準は月額坪当り(共益費込み)20,300円でした。コロナ禍による支店・営業所の大量撤退と新規大量供給によって空室率が13%を記録した2024年第1四半期から劇的な回復を続けており、賃料水準は前年同期比で3.8%上昇しました。コロナ禍以降、悪化の一途を辿っていたオフィス市況が一転、賃料上昇フェーズに突入したといえるでしょう。

「1,000坪以上の大口区画の埋め戻しが急速に進んでおり、連層で確保するのは困難。スタートアップや支店・営業所ニーズに対応する100-300坪程度の小口床が残っている程度の状況。自社ビルから賃貸ビルへの移転や、支店・営業所を対象にした20-50坪の小規模区画の人気も高いです」(JLL担当者)

基準階面積は大区画でありながら支店・営業所のニーズに合致した小割区画を提供するAグレードオフィスが多いため、企業は成長ステージに合わせて柔軟に増床・拡張移転に対応してくれます。例えば「KDX横浜みなとみらいタワー」は地上34階、基準階面積540坪超を誇る高層ビルですが、最小20坪からの小割にも対応してくれます。また、テナントに対して会議室や社食スペースなどの共用サービスを提供するなど、提供サービスの拡充に努めるビルが増加。「みなとみらいセンタービル」では館内に貸会議室を誘致し、テナントの利便性向上に貢献しています。

MM21地区に位置する日本丸メモリアルパーク

画像提供:PIXTA

オフィス街としての人気は今後も盤石

事業開始から40年超を経て完成を迎えるMM21地区。都内の主要オフィス街とは一線を画した多様な魅力を有し、多くの企業を惹きつけています。

今後は隣接する横浜駅周辺や関内エリアで大規模再開発が行われますが、既存オフィスは提供サービスの拡充を進めています。テナント企業の生産性向上やウェルビーイングなどを強力に支援しており、今後もオフィス街としてのMM21地区の人気は盤石だといえそうです。

オフィス移転を検討される際、MM21地区の魅力を思い出していただければ幸いです。

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MM21地区のおすすめビル

KDX横浜みなとみらいタワー

「KDX横浜みなとみらいタワー」

「KDX横浜みなとみらいタワー」

    神奈川県横浜市西区みなとみらい3-3-1に位置する賃貸オフィスビル。1994年竣工。建物規模は地上34階地下2階、基準階面積541.15坪。天井高2,700㎜。OAフロアあり、耐震構造。最寄り駅は横浜高速鉄道みなとみらい線みなとみらい駅から徒歩5分。JR根岸線桜木町駅から徒歩9分。最小20坪からの小割に対応。360度パノラマ眺望、EV充電器(200V×5台)、駐車場100台以上確保可能。CASBEE Sクラス認証。



みなとみらいセンタービル

「みなとみらいセンタービル」

「みなとみらいセンタービル」

    神奈川県横浜市西区みなとみらい3-6-1に位置する賃貸オフィスビル。2010年竣工。建物規模は地上21階地下2階、基準階面積1013.01坪。天井高2,950㎜。OAフロアあり、免震構造を採用。最寄り駅は横浜高速鉄道みなとみらい線みなとみらい駅から徒歩2分。駅直結で改札から雨に濡れずに通勤可能。各フロアに喫煙スペースあり。館内に貸会議室を誘致し、テナント企業の会議室不足やイベントなどにも対応。