1. 新リース会計基準の概要の基礎的理解
新リース会計基準(以下「新基準」と言います)の大原則は、ほぼすべてのリースにつき、借手が将来支払うリース料総額の現在価値を負債(リース負債)と資産(使用権資産)として認識し、使用権資産に係わる減価償却費とリース負債に係わる利息相当額を計上していくことです。
リース開始時に計上するリース負債は①リース料、②リース期間、③割引率により算出します。
このリース負債に、初期費用やリースインセンティブなどを加減算して使用権資産を算出します。
①リース料
将来の変動が確定していない場合は、開始時のリース料を使いますが、その際にチェックすべき点があります。リース契約は賃料と共益費で構成されていると考えられ、このうち共益費は「サービスの対価」とされるため、リースから除外することが求められます。
契約が共益費込みとなっている場合は「(a)同等の案件をベースとして共益費を類推する、または(b)原資産のクラスごとに全額をリースとして認識する」とされています。
出所:JLL
②リース期間
リース期間の規定は「解約不能期間に、①行使することが合理的に確実である延長オプション期間、➁行使しないことが合理的に確実である解約オプション期間を考慮して決める」とされており、リース契約に記載されている期間をそのまま当てはめることは妥当ではありません。
一方で、上記規定はIFRS16号の規定をそのまま転用したもので、日本の商習慣には馴染まないものとなっています。
普通賃貸借契約の場合、多くは2年間の契約期間となっていますが、6カ月程度の事前通知をすれば借手から途中解約ができるため、短期リース除外の規定(※)を利用すれば、解約不能期間はないことになります。