オフィス移転を考える会社にとって、コストを抑える有力な選択肢の1つが「居抜きオフィス」だ。居抜きオフィスの基礎知識や注意点など、経営層や担当者が知っておきたいポイントについて解説する。
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【居抜きオフィスとは?】注意点とオフィス移転を失敗させないためのポイント
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居抜きオフィスでは内装工事の必要がないため初期費用が安く抑えられる傾向がある
居抜きオフィスとは、賃貸オフィスに入居する際に、前の入居者(会社)が使用していた設備機器・内装といった造作物などを撤去せず、残置物として使用する形態のオフィスのことをいう。
オフィスにおける具体的な残置物とは、例えば以下のようなものがある。
カーペット
ブラインド
パーテーション
カウンター
書類棚
デスク
配線(床下を含む) など
一般的な賃貸オフィスでは、入居者は退去の際に上記のような設備・内装といった造作物を撤去するなど、入居前の状態に戻す「原状回復」の義務を負う。
居抜きオフィスでは原則この原状回復を退去時に行わず、次の入居者はそのまま引き継ぐ形で契約するのが特徴である。
【居抜きオフィスとセットアップオフィスの相違点の例】
参照: JLLproperty.com ※上記は一般的な例であり、物件により賃貸条件等が異なる場合もある
居抜きオフィスでは内装工事の必要がないため初期費用が安く抑えられる傾向がある
居抜きオフィスには、通常のオフィス賃貸と比較してどのようなメリットがあるのだろうか。
入居時の内装工事コストや工事中の賃料負担を削減
一般的なオフィスでは、床はもちろん場合によっては天井や壁なども含め入居前に内装工事を行う必要があるが、居抜きオフィスでは前テナントから内装造作物を引き継ぐため、その分の内装工事が不要になるため初期費用が安く抑えられる傾向がある。また、工事期間に発生する賃料負担が削減できることも見逃せない。
賃料負担が相対的にセットアップオフィスよりも低い
居抜きオフィスを賃貸する前に注意すべき4つのポイント
居抜きオフィスを契約することを選択肢に入れた場合、選定にあたっては次のような点に気をつけておきたい。
内装や設備について…引き継いだ設備が使えない・すぐに故障する場合も考えられる。修理・購入費用が発生する可能性があるため、使用期間や状態を事前に確認しておく必要がある。またリース契約が残っていれば、その費用負担も負う可能性がある
レイアウトについて…自社の想定する用途に合っていない場合、業務に支障をきたし、最終的にレイアウトを変更しなくてはならず、費用がかさむ可能性がある
契約期間について…契約締結までの期間が短い、入居のタイミングが限定されるなどの制約があると検討が不十分なまま契約せざるを得ない状況になる
原状回復について…原状回復の対象や範囲、費用については物件ごとに異なるため、明確化しておく必要がある
当初は1,000坪分を賃借予定だったが最終的には1,200坪を賃借することになった。希望通りの内容でコストを抑えつつ移転に成功した。
居抜きオフィスの入退去で失敗しないために
入居時にありがちな失敗
居抜きオフィスへの移転・入居では以下のような点で失敗する可能性がある。
レイアウトが自社の用途に合っていない/変更できない
譲受した残置物の修繕や廃棄・買い替えが発生する
クリーニングが不十分で自社で手配しなければならない など
上記のようなケースでは、せっかくコスト削減のために居抜きオフィスを選択したのに、結局さまざまな費用が発生し、費用対効果が低下してしまう。
こういった注意点を通常の業務をこなしながら担当者がすべてクリアするのは困難なことも多いが、専門家に仲介や支援を依頼すれば、専門知識や豊富な経験・実績に基づいてステークホルダーとの意見調整や手続きを進めることができる。スムーズな入退去ができ、思わぬ費用発生などのトラブルも回避できるためおすすめの方法である。